見知らぬ土地へ

コンクリートに覆われた街に住み

8月の夕暮れにうばわれた自分を

取り戻すことができるのか

夜が来る前の

本屋やコーヒー屋で聴くレコードのように

自由に弾みながら飛んでいきたい

高い街

見降ろせる川

いろいろなものをつまみ食いしながら

生活している女性が

その眼差しを僕に向けて

旅に出る

もどらない

今はどこにも存在しない店に行く

音みたいな人間の彼女