図書カード

5月の半ば頃だったと思う

朝だったか昼だったか夜だったか

あるセリフが聞こえてきた。

「地球外生命体なんて別に珍しくもないしさ」

頭の中で違和感があったことに気づいたのは別の日の放課後になってからで

別に振り向くこともなかった

図書室の前にいた。

図書カードに初めて名前を記入した。

今の時代にこのようなアナログな代物が生き残っていること。

そこが全ての入り口で、並行世界へ吸い込まれていく。

正門から真正面の2階に位置する図書室の窓からは道路が見える

緑色をかすめる学生たちの影がみえる。

ある仕事を頼まれたが、やり方も分からないので、

本を枕にして横目で窓の外を眺める

「行ってかまわない。彼女に害意はない。むしろあなたの役に立ちたいと考えていると推測する。」

「俺もそう思っていたよ。」

まだパズルのピースがそろってない。

面子が足りなすぎる。

肝心の存在がまだいない。

胸を躍らせてくれる唯一の存在が。

「もう少し一人にしておいてくれ。動き出すのにまだ時間がかかる。」

なんの返事も聞こえなかったが、気配が消えたのが分かった。

もう少しここで、緑を眺め続ける。

クリーム色のカーテンが風に泳がされていた。