気がつくと私の車以外消えていて、テーブルに1人ポツンとしてる土曜日
これは、この間のつづきである
いつの何のつづきだって?
忘れっぽくなっちまったんだな
でも、まあきいてくれよ。そのうち思い出すかもしれないしな。
いまは
男女混合のソフトボールの試合中
学校のグラウンドは、別のチームが使っているから、バスにのって、この市内の運動公園まで来たんだ。
味方も敵も、チーム全員が美しいフォームで
説得力にあふれたプレーをしていることに
驚きを隠せない。
多少野球の心得があった僕もまったく目立つこともない。
というか他人のプレイに対して関心がそれている印象をもつ。
次にライズボールが来ることを予測できなかった僕は三振した。
「なに鼻の下伸ばしてんの?」
「たしかに、あの女の子のボディのラインとこのフォーム。アウトカウントを1つ増やした時の喜びの笑顔。A5ランクだ。」
「あんた、そんなことのために此処にテンコウしてきたわけ?」
「どうして、ここに自分がたっているのか?それは、俺自身がいちばん解答を求めている問いだ。お前に、春の惰眠をむさぼる喜びを奪い取られたあの日からずっとな」
爽やかに汗を流したあとには、自由時間が与えられている。
勇気を出して、俺のヒット性の打球をジャンピングキャッチした可憐な女子に声をかけようとしていたところ、ここへ連れてこられた張本人に強引に拉致られ、古びた喫茶店に連れてこられた。
「アイスコーヒーふたつ。」
「おごってくれるのか?」
「これからのアンタの態度次第よ。」
「今日のカリキュラムは、もうお終い。終了に変更されたから、これから話すことをよく聞きなさい。寮に帰ってから考える時間が与えられる。一両日中に解答を出しなさい。」
水出しのアイスコーヒーとやらは、なかなかの美味だった。
次に会える機会はそう長くないうちに訪れるから心の準備をよろしく。
決して日常の中に埋没して、曖昧な答えにしがみつくことの無いように。
君たちの心のサヴァイバルに直結した話なのだからな。